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風邪(かぜ)症候群について

 風邪(かぜ)とは

風邪は、正式には「風邪症候群」といって、一般的にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、発熱などの症状の総称を指します。小児から老人まで、幅広くかかる一般的な病気です。 主な原因はウイルス感染であるため、基本的に特効薬はありません。症状を緩和する対症療法を行い、ゆっくり休むことが何より大切です。

風邪(かぜ)の原因

風邪の原因は、80%~90%以上がウイルス感染です。残りは細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどウイルス以外による感染です。コロナウイルスやRSウイルス、アデノウイスル、ライノウイルスなど、風邪を起こすウイルスは200種類以上あると言われており、原因を特定することは困難です。また同じウイルスでもいくつもの型があり、それが年々変異します。このため、一度感染したウイルスに対抗する免疫ができたとしても、次々に新しいウイルスに感染するため、繰り返し風邪をひいてしまいます。

風邪(かぜ)を引き起こす主なウイルス

主な風邪のウイルス 主な特徴
ライノウイルス 風邪の原因の約30~40%を占めるのがこのウイルス。秋や春に多く、主に鼻風邪を引き起こす。
コロナウイルス ライノウイルスの次に多く、主に冬に流行する。鼻やのどの症状を起こし症状は軽い。
 ヘルパンギーナ コクサッキーウイルスが原因となって起こる疾患である。手足口病と同様、夏を中心に乳児や幼児に流行し、いわゆる夏かぜの代表的疾患。
手足口病 

コクサッキーウイルスが原因となって起こる疾患である。夏を中心に乳児や幼児に流行し、口の中や手足に発疹(ほっしん)が現れる。

アデノウイルス 冬から夏にかけて多い。プール熱の原因もこのウイルス。咽頭炎や気管支炎、結膜炎なども起こす。
RSウイルス 年間通じて流行するが冬に多い。乳幼児に感染すると気管支炎や肺炎を起こす場合がある。
ヒトメタニューモウイルス

年間通じて流行しますが、特に3月〜6月の春に多くなる傾向があります。症状としてはRSウイルスと似ています。

パラインフルエンザウイルス 鼻やのどの風邪を起こすウイルスで、子供に感染すると大人より重症になりやすい。秋に流行する型と春~夏に流行する型がある。
エンテロウイルス 夏に流行するウイルス。風邪の症状のほか下痢を起こしたりする。
インフルエンザ

インフルエンザウイルスによっておこる感染症で、その感染力の強さから学校で集団感染し、合併症による幼児や高齢者の死亡例もあり、

単に風邪と片付けられない注意すべき感染症です。

 

年齢が低い子供ほど抵抗力が弱く、身体機能が未熟であるため、風邪をひく回数は多くなります。保育園や幼稚園などの集団生活施設で、風邪をひいている子供の咳やくしゃみを経由して感染することもあります。またウイルスがついている手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触ったり又はなめたりすることによる間接的な接触感染で感染します。 

 

(風邪で「のどが痛い」という時、その大部分はウイルスに感染して“のど”に炎症を起こしている状態ですが、ウイルスではなく「細菌」感染によるものは溶連菌が重要です。溶連菌感染症に関する詳細はこちらをクリックしてください)

 

風邪(かぜ)の治療

対症療法が主体になり、発熱に対しては冷却とともに、アセトアミノフェン(カロナール)などの解熱薬を用います。喘鳴を伴う呼吸器症状に対しては鎮咳去痰薬や気管支拡張薬などを用います。脱水気味になると、喀痰が粘って吐き出すのが困難になるので、水分の補給に努めます。

ウイルスには抗菌薬は効きません。最初から抗菌薬を使って予防するのは難しいことがわかっています。ですから、風邪に抗生薬を使うのは、効果がないばかりか、抗生剤による副作用を増やすだけです。ただし、風邪に引き続いて二次的に細菌感染を起こし、子どもでは細菌性の中耳炎や副鼻腔炎(蓄膿)を起こすこともあります。そのため、風邪はたいてい3日以内によくなりますが、3日以内によくならなかったら、もう一度受診しましょう。耳を気にしたり、黄色(緑色)の鼻水が出たり、咳が止まらなかったりした場合は、細菌性の中耳炎、副鼻腔炎(蓄膿)や肺炎の可能性があるため、抗生薬が必要になることもあります。抗生剤が必要な場合、こちらから理由をしっかり説明し、抗生剤を処方いたします。  

 

こどもに多い3種類の夏風邪

夏かぜの原因は、暑さや湿気を好むウイルスです。子どもに多く見られるのは、ヘルパンギーナ、手足口病、プール熱(咽頭結膜熱、アデノウィルス感染症)の3種類です。 

 

ヘルパンギーナ

おもにコクサッキーA群ウイルスの感染によって起こり、感染した人のだ液や排泄物などからうつります。多くは「38-39℃の高熱」と「のどの痛み」が主な症状です。

38~39度の高熱が出て、ほぼ同時に、のどの奥などに赤く小さな水疱が数個~十数個できます。水疱がつぶれると痛むため、食事や水分をとりにくくなることがあります。熱は1~3日で下がり、のどの痛みも1週間ほどで治まります。熱がなく、のどの痛みがなければ登校 ( 園 )は可能です。 

 

手足口病

手足口病ではその名の通りに手や足などの全身に皮疹が出ることが特徴です。「ヘルパンギーナ」と診断されても、後になってから手足に皮疹が出てきたために、「手足口病」と診断名が変わることも少なくありません。コクサッキーウイルスやエンテロウイルスの感染によって起こり、感染した人のだ液や、水疱の中身などからうつります。主な症状は、手のひらや足の裏、口の中などにできる米粒ぐらいの水疱(肘やひざ、おしりなどにできることもある)。熱が出ることもありますが高熱ではないことが多く、1~2日で下がることがほとんどです。熱がなく、のどの痛みがなければ登校 ( 園 )は可能です。 

 

アデノウィルス感染症
(プール熱、咽頭結膜熱)

アデノウイルスの感染によって起こり、感染した人のだ液や目やになどからうつります。プールの水を介してうつることもあるため、「プール熱」とも呼ばれます。39~40度の高熱が出て、ほぼ同時にのどの腫れや目の充血が見られます。目の症状はまず片方から始まり、その後、もう片方にも現れます。症状は1週間ほどで治まりますが、おもな症状がなくなってから2日過ぎるまで、登校 ( 園 )はできません。

 

夏風邪対処法

ウイルスが原因の夏かぜの場合、治療は対症療法しかありまえん。夏風邪を引き起こすウイルスは口の中やのどを痛めることが多いため、食事する場合、ゼリー状のもの、うどんやそうめんなど冷たくてのどごしのよいもの、冷たいスープや冷ましたみそ汁などを少しずつこまめに与えましょう。飲み物はストローを使うと飲みやすいこともあります。飲んだり食べたりするのをいやがることがある場合、もっとも注意しなければならないのが脱水の予防です。食事は無理にとらなくても構いませんが、水分はほしがらなくてもこまめにとらせます。水分補給には水や麦茶など甘くないものが適していますが、食事がとれない場合は、糖やナトリウムを補給することができる子ども用の経口補水液を利用するとよいでしょう。

これらの夏風邪は、大人ではあまり見られませんが、罹患した子供さんのいる家庭では、免疫力の低下した大人にうつることもあります。ヘルパンギーナの子供さんを看病したお父さん・お母さんや、ご高齢の方、免疫力を低下させる薬剤(ステロイドなど)を内服中の方は、要注意です。 

 

こどもに多い2種類の冬風邪

冬かぜの原因は、夏かぜと正反対で低温で乾燥した環境を好むウイルスです。子どもに多く見られるのは、インフルエンザウイルス 、RSウイルス、ライノウイルス 、コロナウイルスなどいろいろありますが、その中で特に注意しなければならないのはインフルエンザとRSウイルスでしょう。

 

インフルエンザ

冬になると良く耳にするのが「インフルエンザ」です。「インフルエンザ」はインフルエンザウイルスによっておこる感染症で、その感染力の強さから学校で集団感染し、合併症による幼児や高齢者の死亡例もあり、単に「かぜ」とかたづけられない注意すべきウイルス感染症です。インフルエンザの特徴的な症状を知っておき、以下のチェック項目に多くあてはまる症状がみられた場合は、早めに医師の診察を受けましょう。

  • 発熱と悪寒
  • 関節や筋肉が痛い
  • 倦怠感や疲労感がある
  • 寝込んでしまうほど辛い
  • 頭痛がする
  • せきや鼻みずの症状が次第に強くなる 

上記のような症状がある、特に高齢者や幼児の場合は、早めに医師の診察を受けましょう。

診断

鼻やのどから粘液を採取し、インフルエンザウイルスをその場で判定できる検査もあります(迅速検査キット)。急激な発熱などの症状が出ると慌てて病院に行く人は多いと思います。しかし、この時点で検査をしても、ウイルス量が足りないため、正確な結果な出ないことがあります。症状が出てから12~24時間程度経過してから検査を受けるほうがベターだと考えます。

治療

検査でインフルエンザが確認できたら、抗インフルエンザ薬を使用することで、インフルエンザウイルスの増殖を抑えて、症状を軽減する効果があります。薬の使用が早ければ早いほど効果があります。発熱などの症状が出てから48時間以内に抗ウイルス薬を服用すると症状が早く改善されます。ただし、薬の効果を過信せず、安静にして無理をしないことも大切です。

最近ではいろいろ抗ウイルス薬が処方されるようになりましたが、薬があるからといっても、インフルエンザにはかからないのが一番です。「ワクチン接種」で感染の防止と症状を軽くする効果を期待できます。小さいお子さんや高齢者のいるご家庭では、インフルエンザウイルスを持ち込む可能性のある人も一緒にワクチンの接種を受けるとよいでしょう。 当院では毎年10月ごろからインフルエンザ予防接種を開始しております。開始時期はホームページでお知らせします。希望ある方はホームページをご覧ください。 

登校(園)基準
保育園・幼稚園 発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまでは出席停止。
小学校以上 発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまでは出席停止。
  • 発熱してインフルエンザと診断されて、1日ですぐに解熱して元気になった場合でも、発症後5日を経過しなければ、まだ感染力が残っている可能性があるため、出席できません。 

 

RSウイルス

RSウイルスは、乳幼児の呼吸器感染症の主要な病原ウイルスです。毎年、12月〜2月頃をピークに秋から春先に流行します。2歳頃までにほとんど全ての子どもが感染し、通常は一般的なカゼ症状を呈し数日で回復しますが、早産児や心臓病などの持病を持つ子どもや、2歳以下の一部の子どもは重症化します。つまり、2歳以上の普通の子どもでは「鼻かぜ」程度ですむことがほとんどです。RSウイルスに一度かかっても免疫が十分にできないので何度もかかりますことがあります。

症状

ひどい鼻水、咳、発熱などのかぜ症状があり、多くの場合1~2週間で治ります。しかし、生後1年以内、特に生後6ヶ月以内の乳児や未熟児、心臓病などの疾患を有する幼児では重症化しやすく注意が必要です。

中耳炎を合併することもあります。 

診断

インフルエンザや他のウイルス感染症と区別する為に、鼻の粘液を採取し、短時間で判定を得ることが出来る検査もあります(健康保険での制約があり、1歳未満の乳幼児か入院している患児のみ適応) 

治療

RSウイルスに感染した場合、特効薬はありません。多くの場合は症状を抑える対症療法がほとんどです。症状が辛いときは、咳や鼻水を抑えたり、熱を下げたりするための薬などを使用することがあります。水分補給・睡眠・栄養・保温をして安静にして経過をみることになります。脱水があって飲めない、 呼吸困難が強い、二次感染が重篤などの場合には、入院が必要になります。 合併した中耳炎、細菌の二次感染などに対して抗生剤を使用する場合があります。

しかし、やはり1番大事なのは1歳以下の乳児にいかに感染させないようにするかが重要なポイントになります。そのためには、家族全員で手洗いをしましょう。そして、親子ともに、風邪をひいた人との接触を避けます。特に、RSウイルス流行期(10月頃から2月頃)には、1歳以下の乳児は次のような場所、行動を避けましょう。 

  • 受動喫煙の環境(タバコの煙は、子供の気道を刺激するため、咳症状が悪化し、喘鳴を起こしてしまいます)。
  • 人の出入りが多い場所。
  • 風邪をひいた乳幼児と兄姉(学童、幼稚園児)との接触。 
登校(園)基準

解熱し喘鳴もとれ、全身状態が良ければ登校 ( 園 )可能です。 

 

 

その他の風邪ウイルスで、RSウイルス の症状と似ているウイルスがあります。それがヒトメタニューモウイルスです。

ヒトメタニューモウイルス

RSウイルスは秋から冬、ヒトメタニューモウイルスは冬から春にかけて主に流行します。健康な成人および年長児では、通常は軽症で、かぜの症状しかみられないことがあります。乳幼児や高齢者では重症化して気管支炎、細気管支炎や肺炎などを起こすことがあります。症状としてはRSウイルスと似ていますが、季節が異なること、好発年齢がRSウイルスでは1歳未満に比べてヒトメタニューモウイルスは1歳以上であることが多いとされています。ヒトメタニューモウイルスに1回の感染では免疫が獲得できません。何度か繰り返して感染してしまいますが、年齢が上がるにつれて徐々に免疫がつき、症状が軽くなる傾向にあります。

診断

ヒトメタニューモウイルスの迅速診断キットでは、RSウイルスの検査と同様にお鼻に綿棒を入れる検査です。(健康保険での制約があり、6歳未満の乳幼児か入院している患児のみ適応) 

治療

ヒトメタニューモウイルスだけに感染している場合、Rウイルスと同じ、主に対症療法を行います。水分をしっかりととり、ゆっくりと休みましょう。悪化してしまった場合はと入院することもあります。ヒトメタニューモウイルスと同時に細菌にも感染してしまうことも少なくありません。ヒトメタニューモウイルスに感染し、熱が4日以上続く場合は、細菌にも感染している可能性があり、その場合は、抗菌薬が必要となります。熱が長引く時は中耳炎や細菌による肺炎などをおこしていることがあるので、もう一度早めに受診しましょう。

登校(園)基準

特に決まりはありませんが、熱がなく、咳などの症状が安定した後、全身状態がよくなればは登校(園)可能です。

 

 

これまでの風邪の原因はウイルス感染がほとんどと説明してきましたが、ウイルス感染症ではなく、細菌によって起こる感染症では溶連菌感染症が重要です。  

溶連菌感染症

溶連菌感染症は、ウイルス感染症ではなく、A群β溶血連鎖球菌という細菌によって起こる感染症です。溶連菌感染症とは、主にのどに感染します。つばが飛んだりして口からうつります。多くは3〜9歳ぐらいの子どもがかかる病気ですが、ときに0歳児や大人もかかることがあります。

 

喉の痛み、発熱、発疹の3つが溶連菌感染症の主な症状です。

  • 38℃以上の発熱
  • 喉の痛み(のどが赤い、扁桃腺に白いものがつく、上あごには点状の出血点)
  • 発疹(顔やからだ(特にわきの下、下腹部)に、小さい赤い発疹が多数出現し(発病1~2日目)、かゆみを伴うことも多い。)
  • イチゴ舌(舌の表面に赤いブツブツができること(発病2~4日目)。)
  • 吐き気
  •  腹痛

などの症状がありますが、全てあらわれるわけではなく、人により症状は異なります

 

上あごには点状の出血点

イチゴ舌

体の発疹

 

診断

検査には溶連菌の迅速診断キットを使用し、のどの奥から綿棒でぬぐい取るだけで簡単に行うことができます。検査の結果も5分~10分くらいですぐに分かります。 

治療

治療には、ペニシリン系やセフェム系などの抗生物質を使用して溶連菌を殺菌します。それぞれの抗生物質は、服用する期間が決まっていて、どの種類でも10日前後は確実に服用する必要があります。症状がよくなったなど、自己判断で薬を飲むことをやめてしまうと、きちんと治りきっていないことで再発をしたり、急性糸球体腎炎(腎臓のっ病気)やリウマチ熱(心臓の病気)などの合併症を起こすことがあります処方された抗生剤は必ず飲み切るようにしましょう

また合併症がないかどうか確認するために、2~4週後尿検査を行います。

登校(園)基準

適切な抗菌薬療法開始後 24 時間以内に感染力は減少するため、全身状態がよければ、それ以降、登校(園) は可能です。
 

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